令和6年12月定例県議会 一般質問(令和6年11月26日)


<質問項目>


 

1.千葉港海岸における地震・津波対策について

2.海老川の河道掘削について

3.県立美術館 50周年について

4.防犯対策について

5.警察運営について

6.教科書採択について

7.図書館の選書について

8.関東大震災101年朝鮮人犠牲者追悼式について

9.人権啓発事業について

10.その他

<インターネット中継>




<議事録>


 

令和6年11月26日(火曜日)午前10時開議

  

○議長(瀧田敏幸) 日程第1、議案第1号ないし第35号及び報告第1号を一括議題とし、これより質疑並びに一般質問を行います。

 

 順次発言を許します。通告順により中村実君。

 

○中村 実 おはようございます。質問の機会を得まして、会派各位に感謝いたしております。

 

 まず、千葉港海岸について伺います。

 

 能登半島地震では最大震度7を観測し、石川県を中心に人的被害や建物被害をはじめ、甚大な被害をもたらし、海岸においても地震、津波により多くの施設が被害を受けました。8月には、日向灘を震源とする宮崎県南部で最大震度6弱の地震が発生し、気象庁は南海トラフ地震が発生するおそれが平常時より高まっているとして、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました。政府の中央防災会議では、南海トラフ巨大地震が一たび発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となるおそれがあるほか、隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。さらに、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10メートルを超える大津波の襲来が想定されております。

 

 平成23年に発生した東日本大震災では、千葉港海岸においても多くの被害をもたらしました。特に船橋地区や千葉地区では、背後に人口や産業が集積しており、津波から防護する護岸などは生命、財産を守る、なくてはならない重要な施設となります。今後、いつ発生してもおかしくない巨大地震は、地域の人たちにとって非常に重大な脅威であり、その対策は喫緊の課題であります。

 

 そこで伺います。千葉港海岸における地震、津波の対策はどうか。

 

 次に、海老川について伺います。

 

 船橋市の中心部を流れ、東京湾に流入する海老川の下流部は、縄文時代から東京湾が徐々に後退し、それまで海面下にあった土地が陸地化したと言われており、一たび大雨が降ると、潮位の影響と相まって排水不良となる地域でありました。昭和の後半で3回、平成になってからは5回も水害に見舞われ、特に平成25年の台風26号では、235件もの床上・床下浸水が発生するなど、度々浸水被害が発生している状況であります。海老川を管理する県では、浸水被害を経験するごとに河川改修を実施してきており、昭和60年代から平成の初頭にかけて、海老川の河道拡幅や長津川の調節池の整備が精力的に行われ、浸水被害が大きく減少してきました。

 

 しかしながら、近年では、地球温暖化が進行するなど異常気象が頻発化してきており、海老川流域にもいつ襲ってくるのか、市民の方々は大変不安に思われています。海老川の河川整備の近況については、昨年の6月議会の一般質問と今年の2月の予算委員会で質問いたしまして、河道掘削の着手に向けて、関係機関と協議を実施しているという御答弁をいただきましたが、その後の進捗状況が大変気になるところであります。

 

 そこで伺います。海老川の河道掘削について進捗状況はどうか。

 

 先月、開館50周年を迎えた千葉県立美術館は、千葉県ゆかりの作家の作品を中心に、近代以降の日本画や洋画、彫刻など数多くの作品を所蔵しており、中でも、我が国近代洋画の先駆者である浅井忠の収蔵作品や関連資料は約1,700点にも上り、国内最大規模を誇っております。作品の収集、資料の収集、そして、調査研究は県美術館が担うあまたの役割の要として重要なことと、館を訪れるごとに感じております。

 

 今月4日に執り行われた開館50周年記念式典では、アーティストフォローアップ事業の対象者である県内在住の打楽器奏者安藤巴氏と幕張総合高校ダンス部との共演もありましたが、戦後の我が国を代表する建築家大高正人氏の設計による美術館の空間と融合した実にすばらしいものであり、既成の芸術の概念にとらわれない次世代を担う若者との連携による新たな創造との対面に感銘を受けました。これまでにも地元企業や地域との連携による活動も行っており、地域活性化への一層の貢献を期待しておりますが、いわゆるMLA連携による重要な役割も期待されております。

 

 記念式典が終わりました後には、研究員による展示解説を伺いました。プロローグに続く章、チャプターですね。プロローグに続く章は、東京に行く、あちこちで出会う、パリに行く、グレーに行く、京都に行く、その先につながると進み、筑波日記、従軍日記、巴里日記、フォンテーヌブロー日記を軸に、旅先からの絵はがきや書簡からも浅井忠の人となりが伝わる解説は実に興味深く、引き込まれておりました。「浅井忠、あちこちに行く」と題する特別展でありますが、展示の最後まで浅井の影を慕いながら、あちこちという語感が題に込められた訳を自分なりに感じ取っておりました。

 

 先週の土曜日にも館を訪れましたが、多くの方でにぎわっていました。「旅先から絵葉書を書こう」というワークショップも開かれていました。好きな絵はがきを選び、旅先から誰かに送るように手紙を書き、壁にマスキングテープでとめるという企画に参加された方も多く、幼児から年配の方まで思い思いにしたためておられましたが、お近くにお住まいの方で、今回初めて来ましたという方の絵はがきを拝見することもありました。みちのにわを通ってのポートタワーとの位置関係に驚かれる方もおられました。

 

 近代洋画の先駆者、我が国近代洋画の父と評されることが多い浅井忠でありますが、今回の企画展は日本画、そして、工芸品も含めて350点もの展示であり、これほどの展示はまたとないのではと感慨深く館を後にしました。ミュージアムショップで分けていただいた図録をひもときながら、次回の訪問を楽しみにする今日この頃であります。

 

 文化振興課では、来月下旬からとなりましょうが、次期千葉県文化芸術推進基本計画の意見公募を始める予定と伺っております。作品の収集展示、収蔵品や関連資料についての学術研究をはじめとする美術館に求められる新たな役割も時代とともに変化しております。

 

 そこで質問いたします。千葉県立美術館における芸術を通じた次世代の育成や地域活性化に向けた取組状況と今後の展開はどうか。

 

 続いて、防犯対策について質問いたします。

 

 本年8月以降、首都圏では匿名・流動型犯罪グループによる闇バイトを使った強盗事件が多発しており、残念ながら県内でも凶悪な強盗事件が発生しています。犯行のターゲットとなる住宅は、事前に家族構成や資産状況などが調べられているとも言われていますが、全容は明らかではなく、また、これまで犯罪とは無縁の安全な町だと思われていた地域で凶悪犯罪が発生しています。こうなると、次は我が町が狙われるのではないかと県民の皆さんの不安は増すばかりであります。県警においては、犯人の検挙に全力を挙げていると思いますが、県民の気持ちとしては、犯罪が発生しないことが最善であり、同時に取り組まれている警察による犯罪抑止の活動が県民の安心につながるものと考えております。

 

 また、県としても、防犯カメラの設置補助などの取組を行っていただいております。6月議会では、防犯カメラは被害の未然防止や犯罪の発生時の的確な対応を支えるインフラとして非常に有効であり、今後ますますその必要性が求められることになるだろうと申し上げましたが、今まさに防犯カメラなどの防犯設備の整備拡充を望む県民の方々の声が大きくなっています。私としては、安全で安心なまちづくりを進める県としても、警察と連携して犯罪防止のための対策を強化していく必要があるのではないかと考えております。

 

 そこで伺います。匿名・流動型犯罪グループによる強盗事件が発生し、県民の方々の間にも不安が広がっていますが、県としてどのように対応するのか。

 

 続いて、交番、駐在所の運用について質問いたします。

 

 交番、駐在所は、地域の治安を守る要として長年機能しており、昼夜を分かたず常に警戒態勢を保ち、様々な警察事象に即応し、県民の安全・安心な暮らしを守る重要な役割を担っておられます。従来、交番は原則24時間体制の交代制勤務、駐在所は警察官が居住しながら勤務するものとされていたところ、その根拠となる国家公安委員会規則である地域警察運営規則が本年9月に改正され、日勤制の交番や通勤制の駐在所が認められることとなりました。地域住民にとって身近な存在である地域のお巡りさんの勤務体制が変更になることに、県民の方々の関心も高いものと考えております。

 

 そこで伺います。日勤制交番や通勤制駐在を運用することでどのような効果が見込まれるのか。また、県警では、今後の交番、駐在所の運用についてどのように考えているのか。

 

 続きまして、警察官の装備について質問いたします。

 

 スマートフォンなどの高性能化やSNSの充実化に伴い、誰もが手軽に写真や動画などを用いて様々な表現をすることが可能になり、日常のあらゆる場面について投稿できると言っても過言ではなく、警察組織に関する内容のものも存在しています。その中には、職務質問など、警察官とのやり取りについての投稿も数多くありますが、編集によって、あたかも警察官の職務執行が不適正であるかのような印象を視聴者に与えかねない動画も散見されます。警察庁において、警察官の職務執行が適正であるかの客観的な検証や警察官が犯罪を現認した場合の客観的証拠を保全することを目的に、令和7年度にウェアラブルカメラの試験運用をするとの報道がありました。

 

 千葉県警察では、災害対策における現場の情報収集手段として、一部ウェアラブルカメラを導入していると伺いましたが、様々な事案を取扱い、真っ先に現場に駆けつけ、初動対応を行うとともに、職務質問をはじめとした街頭活動を任務とする交番・駐在所勤務員やパトカー勤務員等、地域警察官にこそウェアラブルカメラを装備すべきだと思います。

 

 そこで伺います。ウェアラブルカメラを地域警察官に対しても導入すべきと考えるが、どうか。

 

 続きまして、教科書採択について質問いたします。

 

 本年8月21日開会の教育委員会会議において、令和7年度から令和11年度までの間、県立中学校で使用される教科書が採択されました。中学校歴史教科書の場合、9冊からの採択が行われましたが、記述には大きな違いがありました。日本共産党の創立に関しましても記述はそれぞれ異なりまして、混沌とした内外情勢を学び得る教科書もあれば、さらっと記述して終わりの教科書もあります。

 

 ある教科書では、コミンテルンの結成として次のようにあります。ソ連は世界中に共産主義を広める拠点でもありました。その目的のため1919年にコミンテルンと呼ばれる指導組織がつくられ、世界各国に共産党を結成していきました。各国の共産党は、コミンテルンの支部と位置づけられ、モスクワの本部の指令に従って、それぞれの国内を混乱させる活動を行いました。日本でも、1922年、大正11年、日本共産党がコミンテルン日本支部日本共産党としてひそかに創立されましたとあります。注には、1925年、日本政府はソ連と国交を結びましたが、日本の国内にスパイの破壊活動が及ぶことを予防するために治安維持法を制定しましたとあり、国際諜報団発覚、コミンテルンの命に動くとゾルゲ事件を報じる新聞記事も掲載し、コミンテルンはこのようなスパイ活動を世界中で展開しましたとあります。

 

 歴史の事実を正確に記述し学びに資する教科書、そして、生徒の知的関心に応え得る教科書の採択がいかに重要な問題であるかを、私もこれまで提起してまいりました。来年度以降の教科書採択前の前回の質問に続いて、採択が終わった後の今回、検証の意味で質問いたします。

 

 県立千葉中学校及び県立東葛飾中学校の歴史・公民の教科書採択について、前回の採択と方法が異なる点は何か。

 

 図書館について質問いたします。

 

 県立中央図書館の蔵書である絵本「ふみきりくん」と児童書「ぬい針だんなとまち針おくさん」の著者は同一人物であると認識をしているか。

 

 図書館における焚書事件が、かつて船橋市の図書館で起きました。別冊ジュリスト241号メディア判例百選第2版には「船橋市西図書館事件」とあり、判例タイムズ1215号には「公立図書館図書廃棄事件」とあり、ウィキペディアには「船橋市西図書館蔵書破棄事件」とあります。事の次第を言い表すには、焚書という表現は欠かせないと私は考えますが、それぞれの考え方ではあるとは思います。この事件では国賠訴訟も提起されて、最高裁判所判例集から判決全文を読むことも可能です。日本図書館協会は「船橋市西図書館蔵書廃棄事件裁判の最高裁判決にあたって」と題し、声明を発表しています。

 

 図書館にとって極めて重大な考え方が問われているからこそ見解を伺いたい。この事件の経緯を国賠訴訟の観点でどのように認識しているのか。

 

 続いて、令和4年8月に各都道府県教育委員会などに発出された事務連絡、北朝鮮当局による拉致問題に関する図書等の充実に係る御協力等についての取扱いについて、どのように認識しているのか。また、本事務連絡に基づいてどのような取組を予定しているのか。

 

 続きまして、関東大震災101年朝鮮人犠牲者追悼式について質問いたします。

 

 本年9月1日に執り行われた追悼式に知事は弔電を送っているが、追悼式の案内状の発信人の肩書はどのようであったのか。

 

 続きまして、令和6年度千葉県人権啓発指導者養成講座について質問いたします。

 

 先月2日に予定されていた講座のお知らせには、次のとおりありました。テーマ、女性に関する人権、演題、女性スペースを守る活動とは、講師、森奈津子さん、小説家、LGBT当事者団体白百合の会代表、概要、体ではなく心の性で性別を決めようとするLGBT思想、トランスジェンダリズムを法制化しようとする動きから、女子トイレ、女湯、更衣室などの女性スペースを守る活動についてお話しいただきますとありました。このお話は、私もぜひ伺いたいと思いまして申し込みました。

 

 その一方、知事はXに、経緯を確認します、私も驚いていますと書き込んでいました。この講座は開催の直前になって中止となりました。当日に向けて日程を確保して準備を進めていた講師にとって、そして参加を希望していた方々に対して、あまりにも理不尽な対応でありましたが、どのような経緯があって中止としたのか。また、知事のXへの書き込みの真意は何か。

 

 以上で1問目を終わります。(拍手)

 

○議長(瀧田敏幸) 中村実君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。

 

○知事(熊谷俊人) 自民党の中村実議員の御質問にお答えをいたします。

 

 まず、県立美術館における次世代育成及び地域活性化の取組についてお答えをいたします。

 

 県立美術館では、次世代の感性を育むため、新進芸術家が子供たちと一緒に等身大の自画像や毛糸を使った展示作品を制作するなど、アートに触れる楽しさを伝えるワークショップを実施するとともに、新たな出会いと発見の場を提供するデュッセルドルフ市とのアーティスト交換事業などを行っています。また、地域の活性化を進めるため、千葉みなとのエリア内各所で作品を公開する回遊型の展示において、地域住民とボランティアが芸術家と協働して作品制作や地元の伝統的な祭りと融合した催しなどを実施したほか、各地のイベントにおいて、アート体験ブースを積極的に出展をしています。

 

 今後は、これらの取組をより一層進めることで、未来のクリエーティブな人材を千葉から育むとともに、県内のアートプロジェクトの拠点として地域活性化にも貢献をしてまいります。

 

 次に、防犯対策についてお答えをいたします。

 

 匿名・流動型犯罪グループに対する県の対応についての御質問ですが、匿名・流動型犯罪グループによる強盗事件の相次ぐ発生により、県民の体感治安は悪化しているものと考えており、県民の安全・安心の確保にしっかりと取り組んでいく必要があります。県では、これまでも犯罪の起こりにくい環境づくりに向け、市町村や自治会等による防犯カメラの設置に対する補助事業を実施し、昨年度までに県内の公道や公共の場に3,278台が設置をされています。また、自主防犯組織の防犯パトロール活動や市町村における地域防犯アドバイザー設置への支援を行うなど、ハード、ソフトの両面から地域における防犯力の向上に努めております。

 

 県としては、今後とも、防犯カメラ設置への支援などを行うとともに、住宅地でのパトロール強化や闇バイトへの応募防止などの犯罪抑止対策を進める県警とも連携をしながら、引き続き安全・安心な千葉県の実現に向けて取り組んでまいります。

 

 私からは以上でございます。他の質問につきましては担当部局長からお答えをいたします。

 

○議長(瀧田敏幸) 県土整備部長四童子隆君。

 

○説明者(四童子隆) 私からは、まず、千葉港海岸における地震・津波対策の取組についての御質問にお答えします。

 

 人口や産業が集積する千葉港海岸、船橋地区や千葉地区では、これまでの整備により津波に対する施設の防護高は確保されております。しかしながら、東日本大震災では津波被害はなかったものの、揺れや液状化により施設の沈下等の被害を受けたところであり、現在、施設の耐震化を図るため、液状化を防ぐ地盤改良などの対策を進めております。引き続き、地域住民の生命、財産を守る海岸保全施設の整備について、関係機関と連携し、着実に取り組んでまいります。

 

 次に、海老川の河道掘削についての御質問ですが、県では、海老川の河川整備計画に基づいて、1時間に約50ミリメートルの降雨による洪水を安全に流下させることを目標とし、上下流のバランスに配慮しながら、河道掘削や調節池等の整備を進めております。海老川の本川につきましては、河口から長津川合流点までの約1.3キロメートル区間の河道掘削を令和16年頃までに行う予定であり、今年度は国道14号船橋橋付近の約0.1キロメートル区間で掘削を実施したところです。引き続き、関係機関と協議を行いながら、下流側から河道掘削を進めるとともに、調節池等の整備も進めてまいります。

 

 以上でございます。

 

○議長(瀧田敏幸) 警察本部長宮沢忠孝君。

 

 

○説明者(宮沢忠孝) 私からは警察運営についてお答えいたします。

 

 まず、日勤制交番等を運用することで見込まれる効果に関する御質問ですが、このたびの規則の改正により、事件、事故が多発する地域に警察官を多く勤務させるなど、治安情勢等に応じた柔軟な配置が可能になるほか、様々な理由により交代制勤務や駐在所での居住勤務が困難な職員も、交番や駐在所で勤務することが可能になるものと承知しております。

 

 次に、今後の交番、駐在所の運用に関する御質問ですが、県警では改正された規定の内容を精査し、本県の治安情勢や地域の実情を踏まえ、必要により試行運用を実施するなどして、日勤制交番等の導入の可否を検討してまいりたいと考えております。

 

 最後に、ウェアラブルカメラの導入に関する御質問ですが、警察庁では、街頭で職務執行に当たる地域警察官によるウェアラブルカメラの活用について、その効果や課題を把握するため、来年度、一部の都道府県警察においてモデル事業を実施するものと承知しております。本県の地域警察官に対するウェアラブルカメラの導入については、警察庁が実施するモデル事業の実施結果等を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○議長(瀧田敏幸) 教育長冨塚昌子君。

 

○説明者(冨塚昌子) 初めに、県立中学校の歴史・公民の教科書採択についての御質問にお答えいたします。

 

 県立中学校の教科書採択に当たっては、県教育委員会は法令に基づいて、あらかじめ教科用図書選定審議会の意見を聞き、教育委員会会議において採択することとなっています。前回の採択では、選定審議会から各教科1者の教科書が推薦されましたが、今回は16教科のうち9教科において複数者の教科書が推薦され、歴史及び公民については3者の教科書が推薦されました。

 

 なお、教育委員会会議における教科書採択に当たっては、前回も今回も投票により採択を行っており、採択方法に大きな変更点はございません。

 

 次に、県立中央図書館の蔵書の著者に関する御質問ですが、「ふみきりくん」の著者は作者紹介の中で、「ぬい針だんなとまち針おくさん」の作者であることが確認できるため、同一人物であると認識しております。

 

 次に、いわゆる船橋市西図書館蔵書破棄事件の経緯に関する御質問ですが、当該事案は、船橋市西図書館の職員が市の除籍基準に該当しない書籍を蔵書リストから削除し、廃棄したことに対し、著作者らから市及び当該職員が提訴されたものであると把握しています。最高裁判所の判決においては、公立図書館の職員である公務員が、図書の廃棄について、基本的な職務上の義務に反し、著作者または著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをしたときは、著作者の人格的利益を侵害するものとして国家賠償法上違法となるというべきであるとの判断がなされたと承知しています。

 

 最後に、文部科学省の事務連絡に関する御質問ですが、文部科学省の事務連絡にもあるとおり、若い世代などに対する拉致問題への理解促進を図ることは重要であると認識しております。県立図書館では、千葉県立図書館資料収集方針に基づき、県民の調査研究や知識、教養の向上に資する資料を収集しており、拉致問題に関する書籍もその1つとして収集しています。また、書籍のテーマ展示を行うなど、県民が手に取りやすい環境の整備に努めています。

 

 今後とも、県民ニーズや時宜に応じ様々な書籍を紹介する中で、拉致問題については北朝鮮人権侵害問題啓発週間に合わせ、県立図書館3館による関連書籍の巡回展示を実施してまいります。以上でございます。

 

○議長(瀧田敏幸) 健康福祉部長岡田慎太郎君。

 

○説明者(岡田慎太郎) 初めに、関東大震災における朝鮮人犠牲者追悼式についての御質問ですが、式典の主催は、関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式千葉県実行委員会で、案内状の発信者は、在日本朝鮮人総聯合会千葉県本部常任委員会委員長です。

 

 次に、人権啓発指導者養成講座に関し、中止の経緯についての御質問ですが、指導者養成講座については、職場や地域における人権啓発に携わっている方が必要な知識を習得し、資質向上を図ることを目的として、幅広いテーマの研修を毎年実施しているところです。講座中止の経緯については、開催案内を県ホームページにおいて9月17日に掲載したところ、翌日の18日から県ホームページのお問合せ等を通じて講座の開催に関する多数の様々な御意見が寄せられました。そのため、県としてこのまま講座を行った場合、管理運営上支障を来すおそれがあると判断し、26日に中止することとしました。

 

 最後に、知事のXに関する御質問ですが、県が主催する講座についてSNSなどに様々な御意見が寄せられたことから、状況を確認することとしたものです。 以上でございます。

 

○議長(瀧田敏幸) 中村実君。

 

○中村 実 御答弁ありがとうございました。

 

 防犯対策についての御答弁ありがとうございます。匿名・流動型犯罪グループによる強盗事件は、その凶悪性から緊急に対策を進める必要があると考えております。県警によるパトロール強化や闇バイトによる犯罪加担抑止の取組は大変心強いものであります。引き続き対策を進めていただくようお願いいたします。また、県としても、警察や市町村と連携し、防犯カメラの設置を促進するなど、引き続き安全で安心なまちづくりに取り組んでいただくよう要望いたします。

 

 今後の交番、駐在所の運用については、規則改正を踏まえ検討されるとの御答弁をいただきましたが、地域の実態に即した活動を行う交番、駐在所で勤務する警察官は、地域住民の最も身近な頼れる存在であります。人口減少や犯罪情勢に加え、住民からの要望などをしっかりと見極め、地域の実情に応じた柔軟な運用を検討していただき、引き続き、県民の日常生活の安全と平穏の確保に向け、御尽力していただくよう要望いたします。

 

 ウェアラブルカメラの地域警察官への導入については、警察庁のモデル事業等を踏まえ検討されるとの御答弁をいただきました。ウェアラブルカメラを導入することで、現場で活動する地域警察官の適正な職務執行が担保されるとともに、警察官に対する襲撃等加害行為を企図する者への抑止効果も期待でき、警察官を守ることにもつながるものと感じています。我々県民の安全・安心のため、昼夜を問わず、職務に精励されている警察官に安心して、より一層職務に邁進していただくためにも、ぜひ御検討をしていただくよう要望いたします。

 

 令和3年度使用、県立千葉中学校、県立東葛飾中学校教科書を採択した令和2年、4年前ですね。令和2年8月19日の教育委員会会議において、教科書選定審議会から推薦のあった原案に賛成の方は5人、異議ありと投票した方はお1人でありました。投票の結果、歴史・公民、それぞれ育鵬社の教科書が採択されました。4年前のこの会議に出席をされて、本年8月21日の教育委員会会議に出席された教育委員が3人おられます。本年8月21日の教育委員会会議における投票結果でありますが、千葉中学と東葛飾中学の歴史教科書については、東京書籍4票、育鵬社2票、公民教科書については、帝国書院5票、育鵬社1票でありました。3人の委員の判断がどのように推移したのか、無記名投票による表決だったがゆえにうかがうすべがありません。教育委員が教科書を採択する教育委員会会議に臨むまでの間は、働きかけに左右されないよう、静ひつな環境を保つことは重要であると私も考えております。しかしながら、教科書採択の重要性に鑑みましては、採択の瞬間におきましては、採択権者の判断と責任において、表決に挙手または記名投票をもって臨むことが求められると私は考えます。

 

 そこで質問いたします。教科書採択に際しましては、千葉県教育委員会会議規則第25条を改め、表決方法は挙手または記名投票とすべきではないかと考えるが、どうか。

 

 追悼式に弔電を打った、その判断の基準といったものが非常に気になるところであります。関東大震災101年朝鮮人犠牲者追悼式に際し、弔電を打つことにした判断の基準は何か。また、案内状の発信人が在日本朝鮮人総聯合会、すなわち朝鮮総連の千葉県本部常任委員会委員長とある式典に弔電を打つことについて、県民の方々の理解が得られると考えているのか。また、来年は関東大震災102年朝鮮人犠牲者追悼式が挙行されるかと思います。来年度、同じ内容の案内が届いた際にはどのように対応するのか。

 

 それと、人権啓発指導者養成講座についてでありますが、この問題、事実関係といったものが非常にこれは分かりにくい。今、私もこの事実関係を究明しているところでありますが、少なくとも非常に根の深い問題ではないかと思われております。

 

すみません、ちょっと順番が逆になってしまいましたけれど、この追悼式に弔電を打った関係なんですが、これは例えば、朝鮮学校に対する補助金があります。抵当の関係とかで、また県のほうが確認を入れようとしても返答がない。そういった中において、状況はもう変わっていないわけなんですね。そういった中で、朝鮮総連または朝鮮学校に対して、県のほうが誤ったメッセージを送信しかねない、私は危惧しているのであります。だからこそ、今回のことに関しましても、県民の方々の理解が得られると考えているのか、また、来年度、同じ内容の案内が届いた際にはどのように対応するのかお答えいただきたいと思います。

 

 それと、人権啓発指導者養成講座についてであります。今後、事実関係の確認を進めまして、事の次第を明らかにする必要がありますので、調査を進め、次回以降、質疑を深めていきたいと思います。今回の事例ですが、私は、これはいわゆるキャンセルカルチャーではないかと思っております。

 

 時間がありませんので、以上で質問を終わります。

 

○議長(瀧田敏幸) 教育長冨塚昌子君。

 

○説明者(冨塚昌子) 教科書採択における採択方法に関する御質問です。

 

 今回の県立中学校の教科書採択では、教育委員会会議において審議した結果、外部からの働きかけに左右されることなく静ひつな環境を確保し、公正かつ適正に行うために無記名投票となりました。採択の方法につきましては、今後もその都度議案の内容を踏まえ、教育委員会会議で決めることとなりますが、教科書採択につきましては、その重要性に鑑み採択権者の判断と責任により、綿密な調査研究を踏まえた上で、公正性、透明性に疑念を生じさせることのないように適切に行うよう努めてまいります。

 

 以上でございます。

 

○議長(瀧田敏幸) 健康福祉部長岡田慎太郎君。

 

○説明者(岡田慎太郎) まず、朝鮮人犠牲者追悼式に関して追悼文を送る判断をしたことと、それから、そのことについて県民の理解は得られるかという御質問でございますが、関東大震災は10万人以上の貴い命が失われた歴史的な大災害であることから、国籍や民族などの違いを超えて、震災で犠牲になられた全ての方に対して哀悼の意を表しているところでございます。この式典は、会場が所在する地元市やその近隣市においてこれまでも追悼文の送付などが行われており、震災直後の混乱時期に犠牲になられた朝鮮人の方を追悼することを目的としたものであることから、追悼文を送ることとしたものでございます。

 

 県としては、災害発生時に真偽が定かでない情報が出回ることがないように、積極的に正確な情報を発信し続けるとともに、平時から人権尊重の啓発等に取り組んでまいります。

 

 それから、来年度の対応に関する御質問でございます。

 

 関東大震災で犠牲になられた方々に対しては、哀悼の意を表したいと考えております。なお、個々の式典への対応については、その都度、個別に判断してまいります。

 

 以上でございます。